現場ルポ

探し物の日々

今日の一枚は向かいのビル。日没がすっかり早くなってしまった。忙しいのか、要領が悪いのか、一日がとても短い。 事務所に着いて荷物を広げる。ノートが二冊見当たらない。朝、部屋を出る時持ったはず。うーん。昼休みに家に帰ると下駄箱の上に置いてあった…

ご無沙汰かも知れない

今日も16日の続き。この錆びたオカマは2年前、主屋と土蔵を解体した際に運び出して、ここに置いたきりにしてある。初めから錆びていたのか、2年前より錆が進行したのか思い出せないが、なかなかいい錆び具合なので久しぶりに登場。さて、今回は建物の調査ば…

葺き土の厚さ

今日も昨日に引き続き現地調査。写真は蔵の鉢巻と呼ぶ部分。3年前に実測した際には、瓦の下にまだ壁が残っていた。木造建築は屋根が抜けると傷みが急速に進む。軒裏が剥がれ、鉢巻も剥落してしまった。軒先瓦もずり落ちて、ご覧の通り。雨除けのシートも被せ…

抜き差しならぬ

今日の一枚はご存じ「二宮金次郎」。修理のために実測に出かけた屋敷の庭にあった。崩れかかった土蔵の前の藪の中でも、ひたむきに勉学に励んでいる。 先週末に突然、原稿依頼を受けた。締め切りは月曜日。書き直しをしている原稿だって仕上がらないのに、引…

千手欅

千手観音のような枝を伸ばしている木は欅の木。今日の一枚。増穂町のあるお寺の境内に立っている。樹齢は何年なのか良く判らない。 欅の大木は貴重だし、欅の木目は美しい。だから、不謹慎にも「売ってくれ」と話を持ちかけてくる人もいるのだそうだ。 この…

樂案への道

5年ほど前に引き渡した樂庵に久しぶりに行った。 武蔵小金井の駅に降りるとすっかり様変わりしている。 駅を降りてマクドナルドの前を通り、アーケードの下をしばらく歩いて、最初の角を曲がるはずだったが、何も残っていない。広くなった道と、高くて、でか…

年越し準備

今日の一枚は「大名古屋ビルヂング」。この名称は誰かが冗談で付けた渾名なのだと思っていた。JRの駅から近鉄線の駅に向かう途中で気かけた。屋上を見ると堂々と「大名古屋ビルヂング」と書かれていた。本当に存在したので驚いた。 遠くの山の天辺がチラホラ…

ヤヤコシイ番付

今日の一枚は「番付」。床板をはがすと、柱の根元に文字が書いてあった。何時の時代の誰が書いたのかは判らないが、これで建物の柱や梁の位置を示す。通常、番付は将棋の盤みたいに「いの一番」とか「はの3番」とか平仮名通りと数字通りの組み合わせで呼ぶが…

麻のコーナー補強

ある寺で江戸時代から続いている子供の「癇の虫」を治療する虫加持堂の修理を始めた。建物は防火のために土蔵のように塗りくるんである。所謂大壁造りというもの。長い年月を経て、さすがにあちこちひび割れが出てきた。老朽化が進んで、手に負えなくなる前…

乳母車

今日は古材の確認。解体した建物の柱や梁を諏訪の工務店S氏に預かってもらった。設計が終わって、工事の契約も取り交わしてから解体に着手するのが何時ものやり方なのだが、都心の土地ではそうのんびりもしていられない。文字通り「時は金なり」なのだ。 仕…

緑目のカマキリ

今日の一枚は大月の家。1月から解体工事を始めて、10カ月経った。ようやく内部の架構の変更作業が終った。電気器具の配置計画の図面がまとまったので、再確認するために現場に行くと外部足場が取れていた。外観を見ればもうすぐ仕上がりそうな顔つきではある…

秋晴れの一日

こちらは大泉村の古民家。本格的に再生工事の設計に入る前に建物の実測を行う。天井が張られている民家の場合は屋根裏にはほとんど光が入らない。灯光機を持って、頭にヘッドライトを縛り付けて、潜り込む。先ずは写真撮影。 舞い上がった埃がフラッシュの光…

前向きに生きる

今日の一枚は昨日行った佐久平の再生民家。秋晴れだった。 8月に一斉に実をつけたゴーヤの葉が黄色くなってきた。もう終わりだねと、ネットから蔓を外そうとしたら、小さな実が一つ残っていた。「それなら、まあ、いいか」とそのままにしておいたら、少し大…

健康のため

塩山駅朝6時13分発の電車に乗る為に家を出た。山手線内に9時前に着くためには、遅くてもこの電車に乗らなければならない。 駅は我が家から真っ直ぐ東に向かった所にある。だから以前は線路沿いに一直線に歩いて行けた。数年前に交差点の「改良」工事を行った…

ワニ系

今日は昨日の続き。茅葺であれば茅をバサバサ重ねて縛り付けて、最後に散髪するように鋏で切り揃える。今回は金属板で葺くので下地は平面でなければならない。曲がった材料ばかりで組まれた小屋に平坦な屋根面を作る訳だ。 「そんなこと当然でしょ」なのだが…

母屋の間隔はどうやって決まったのか

道路工事があちこちで盛んだ。次々と新しい道路が造られて、古い道路も整備され道幅が広がる。 河口湖から甲府盆地に抜ける御坂峠も山道を無理やり広げるために、随分崖を削った。削った崖の表面は概ね間知石という不思議なものを積んで仕上げる。積み上げた…

問題解決

今日は昨日の続き。 住宅に再生するために丁度良い建物を探し出して、貰い受けることになったが、問題が一つあった。建物に使われている長さ8メートルの欅材を運び出すのが厄介だ。 前面道路が狭いうえに、屋敷に唯一の入り口には門がある。扉が小さいので大…

浦木戸の家見学

今日の一枚は上野原市にある「浦木戸の家」。甲州街道沿いの上野原から大月にかけて同じような造りの民家が並んでいる。見かけは2階建てだが、養蚕の為に3層の床がある。だから2階の天井はとても低くなっている。生活の場ではなくて、蚕が飼育できれば良かっ…

もうすぐではなく、すでにだった

今日の一枚は「白山神社の狛犬」。何時もなら「あ・うん」のセットで撮るのだけれど、暑さのせいか片方だけしかない。 昨日の夜「もうすぐ立秋」と書いた。朝になってから、遅ればせながら気になった。先ほど調べて見たら何と「8月7日」とあった。 「もうす…

緑のカーテンの行方

今日の一枚は「朝顔の花」。事務所の入り口に挑戦した緑のカーテンの朝顔の内、何本かがやっと2階の窓の前まで行った。手の届かないところまで伸びたので、野生の本性を取り戻したのか、隣のレーンに移動したり、壁面から離脱を試みる奴もいる。なかなか3階…

ご案内

今日は佐久に出張。清里を抜け野辺山に抜けると八ヶ岳の麓に野菜の畑が広がる。自動車を停めて撮影したいけれど、路肩の狭い上下二車線の直線道路を走る車はかなりスピードを出している。それに後続車が迫っているので簡単には停まれない。試みに通行量の少…

空中スイカその後

今年は梅雨入りも梅雨明けも例年より早く過ぎて、朝の空にはいわし雲が浮かんでいる。気のせいか、今年は秋も早いのかも知れない。 事務所に着いて、簡単な掃除を済ませて、パソコンの電源を入れる。データーが溜まって来たのか立ち上がりが随分遅くなった。…

天空のかぼちゃ

今日の一枚。空中カボチャ。またの名を天空のカボチャ。 会社で借りている車庫の大家さんの家ではこんな風にカボチャを作っていた。地べたを這わないので汚れや虫が付きにくいのだろう。とてもきれいに育っていた。 我が家の狭い庭では、カボチャが行き場を…

茅屋根の覆い

今日は河口湖のお仕事。旅館や土産物店で賑わう商店街の対岸にある大石地区には茅葺民家がまだ沢山残っている。その中の一棟の屋根の修繕。茅葺屋根の上を覆っている鉄板の葺き替えを行うことになったのだ。 古い鉄板を取るとこんな風になっていた。 茅屋根…

上達

昨日は「浦木戸の家」の現場。長引いた工事もどうやら終わり。 塗装・建具・照明・什器の取り付けが最後に来てパタパタと完成した。現地について内部の確認の前に建物周囲をぐるりと回る。一周して元に戻り足元を見るとヒラヒラするものがある。何時ものコン…

地軸の狂い

今日は長野の再生現場。 夏草やら樹木が元気いっぱいに生い茂って敷地が狭く感じる。午前はあっという間に過ぎ、15時からの別件の打ち合わせのために大急ぎで山梨に戻る。こちらも瞬く間に時間が過ぎた。一息入れて机に向かい、メールを開くとこんな連絡が入…

とにかく頑張っている人

今日の一枚は現場で見かけた新種の昆虫みたいなもの。 写真の両端に写る金物はバルセロナのお土産品でガウディのデザインしたものとのこと。 以前は当然ながら建具に使われていたが、今回の再生民家の建具は引戸が多くて、こうした金物の出番はあまりない。 …

マイペース

今日の一枚はカボチャの花。ホームセンターで見かけた苗を良く考えもせず買ってきた。「どうせ蔓状に茎がのびて実をつけるのだから」と庭の隅に植えた。細長い畑の中で水平に枝を伸ばして行く姿を想像していたが、全然違った。朝顔のように上に伸びるタイプ…

緑のレース

今日の一枚は浦木戸の家。当初の工期は4月末だったが、例によってエコポイントやら計画停電やら資材不足やらに見舞われた。震災時の大揺れで2階の土壁も割れ、そちらの補修工事も発生した。色々あったけれど完成まであと僅かなのだ。さて、建物の前面道路…

赤いトマト

ここ数週間、休日は庭の雑草の抜き取り。ついでに庭のあちこちに埋もれている石やらコンクリートの縁石やらブロックなども掘り出す。土の中から埋設物を引っ張り出すには指先の力が必要なのだ。お蔭で指の付け根が腫れあがってしまって、ペンも持てない。 さ…