屋根のある橋

鞘橋

川沿いに歩いて、街並みが途切れた辺りでこんなものを見つけた。屋根のある木橋。鞘橋と呼ぶのだそうだ。
とりあえず写真を撮ってから眺めると、川幅が広いのに中間部分に柱がない。

気になったので川岸に降りて、橋の下をのぞき込むとこんな風に丸太をつなぎ合わせてあった。

3本の丸太をつなぎ合わせて1本の梁に合成する。丸太同士のつなぎ方は平ほぞ込み栓といった手法か。説明が難しいけれど手順は以下のような感じだろう。

1:丸太を横にして側面に、上から下に向けて長方形の穴を空け貫通させる。
2:穴の位置を合わせて丸太を上下に重ねる。
3:丸太同士がずれないように穴に板を差し込む。差し込んだ板が抜けないように、丸太の真横から角材を打ち込む。
4:これで上下の丸太が一体する。
また中央部がアーチ状に盛り上がっていることも、歪み防止には効果的だろう。

合成した梁を橋の中央部に1本、両側には2本、合計5本をこちら岸から向こう岸まで掛け渡している。橋の長さが23メートルとのことだから、丸太1本当たりの長さは10メートル強といったところ。これなら人力で何とか施工可能だろう。単純かつ効果的な工法なのだ。
ついでの話だが屋根が掛かっているから寿命も長い。実際に明治2年に作られて、明治37年にこの場所に移築されて今に至るとのことだった。