最後のまつぼっくり

west2692008-09-28

設計の最初の段階では敷地のどの位置に建物を配置するのか検討を行う。小龍庵の敷地は広いが斜面が多く平坦な部分は少ない。川沿いの林なので大きな木も生えている。
「この松とコナラを切らなきゃ、家が入りません」「大きい木なのにもったいないね」「じゃあ、家に使いますか?」
目の前の育った木を捨てて、製材された木材を買って使うのも何だか不自然だ。ちょっと高くつくけど、原木から建築を計画することは魅力的だ。今は2月だから木は水を吸い上げていない。切るのはまだ間に合う。建て方は12月だから乾燥も出来る。
ということで、基本設計も固まらないうちに伐採し、葉枯らし乾燥をはじめた。
今日の一枚はまつぼっくり。切り倒された直後の松の木についていた。

普通は設計が決まってから、必要な柱や梁の寸法を検討する。しかし、この時は切り倒した材木の寸法を測り、取れそうな柱や梁を想定してから架構を考えた。「コナラから柱を2本。松からは梁が2本と柱を1本くらいは取れるだろう」と、いった具合。昔の民家はこんな風にして計画されたのかもしれない。

写真の曲がった梁は松。それを支える柱は隣に生えていたコナラの木だ。建築主が枝を払い、皮むきをした。製材所に持ち込めば真っ直ぐにされてしまう。それではつまらない。わざわざこの木を使う意味がない。そんな訳で大工がチェーンソーを使い、もくもくと煙を立てながら製材した