塞翁が馬

west2692008-11-02

今日も昨日の続きで民家の実測調査に行く。昨日と打って変わり、天気が良くて気持ちのよい一日だった。こんな日は実測もはかどる。

今日の一枚は土蔵の妻壁に見つけた円盤状の飾り。通常この場所には家紋や家名を書いたり、「水」やら「龍」などの文字が書かれていたりするが、鏝絵は珍しい。例の如く脱線して写真を撮る。

鏝絵といえば入江長八が有名で、伊豆の松崎に作品が残る。実物を見たいなと思いながらもあっという間に20年くらい経ってしまった。鶴や亀みたいに千年も万年も生きられないから、こんな調子では一生の内に見ることの出来る建築やら作品は限られてしまうと、気持ちのあせる昨今ではある。


さて、今日は「蟹さん」に会った。昼休みに食事に行こうと歩いていると、側溝の中で何か動くものがある。立ち止まってよくよく見てみると、石のような色をして枯葉の下に潜んでいた。
昔は家の近くの沢にだって沢山いた。当たり前すぎて見向きもしなかったが、珍しくなってくると被写体に選ばれ、本人の意思とは無関係にこうやって映像も配信される。

無視されることが淋しいことか、注目されることが良いことなのか。万事塞翁が馬というが、彼または彼女にとってはどうなんだろうな。

カメラを向けると、横歩きで石伝いに逃げようとする。スタッフのN君が傍らの小枝を拾って、行く手を遮るとこんなふうに泣きそうな顔をした。