冬籠り

west2692012-01-09


遠くの山が白く煙っている。今日の目的地はあの山の麓あたり。もしかして雪が降っているんじゃなかろうかと話しながら車を走らせていたら、白いものが舞ってきた。ひと月前に一度行ったばかりだけど、田舎の一本道だから迷うはずが無いと地図も持たずに出かけたのがいけなかった。近づくにつれ道も山も真っ白になり、何の目印も見つけ出せない。民家の建っている集落は幹線道路から外れた坂道を上るのだけど、同じような森の中に入る道ばかり。この辺りを登って行ったような気がすると、見当をつけて脇道に入る。ヘアピンカーブは雪で滑って登れない。狭い道なのだ。「違ったかな」と思っても、戻ることも出来ない。仕方なく何度か切り替えして坂道を抜ける。恐る恐る上って行くと見覚えのある家が見えた。
今日の一枚は越冬中の蛾。細い糸に何やら粉のようなものを絡ませて、毛布のように羽織って寒さをしのいでいる。我々は防寒着を着込んで、それでも寒くて震えている。「うーむ」と、一緒に調査をしていたM君としばらく眺めてしまった。
古民家の立てつけの悪くなった窓の開け閉めには力がいる。時としてガタガタと大きく動かさなければならない。でもここは彼の大切な命綱をこわさないようにそっと窓を閉めることにした。
こちらはそんな集落の一角。帰り道の風景。