何だか判らないもの

west2692008-10-05

「これを何処かに使って欲しいんだけどね」と相談を持ちかけられた時、歴史で習った土偶のビーナスを思い出した。「これは何ですか」と建築主に聞いたような気もするが、聞かなかったような気もする。
そんな訳で今日の一枚は「何だか判らないもの」。勝手に粘土のビーナス、ビナちゃんと呼ぶことにした。

小龍庵の計画が進むにつれ、丸太・木の枝・古材、それにオーナーが長年収集したオブジェを始め相棒のデザインするトカゲやら「森のマキマキ」やら、なんやらかんやらが建物の内外に場所を占めて行く。
このビナちゃんもその一つ。こういった物の処理を考えることは演奏家ならアドリブ、坊さんだったら禅問答みたいなものかもしれない。計画中の建築を何処まで血肉化しているかが試される。緊張もするし、なかなか楽しくもある。

壁に掛けるのなら簡単だが、狭い所でうっかりぶつかると壊れてしまう。重たいので壁に埋め込む方法が安全だが、それは芸がない。そこで壁にニッチを造って浮かんだ感じに取り付けることにした。これならぶつかる心配はない。
しかしどうやって固定する?ボンドで接着と言うわけには行かない。裏からビスで留めるにしても、穴をあけなきゃならない。焼き物なので失敗はきかない。

大工に手渡す際に、取り付ける方法をあれこれ提示したが、いつの間にか付け終わっていた。どのようにつけたのか訊ねると、「接着ではない、しかし秘密だよ」との答えだった。

下の写真も同じく木製のパネル。「随分、反っているけど、これも何処かに使えないか」と言う要望だった。厚さ3センチはある硬い木だったが、ドアにはめ込むことにした。アイデアマンの建具職人がいるので何とかするだろうと考えた。板を見て特に驚いた風も無く、解かりましたと持ち帰り、平らになって戻ってきた。それにしてもいったいどうやったんだろう?

国籍・年代不明のオブジェ。南方系の堅木と思われるが、材質は不明。何処の国のお土産なんだろう?