光の効果

west2692008-10-09

山梨県における葡萄栽培は養老2年(西暦718年)に始まるという伝説がある。ワインのほうはぐっと遅れて、明治になってから、2人の青年をフランスに派遣し、製造技術を学ばせたのが甲州ワインの起源なのだという。二人のうち、土屋龍憲という人が葡萄酒貯蔵のために輸入したばかりのトンネル技術を応用し、レンガも地元で焼いてアーチ式の地下室を造った。
明治30年頃の建設だろうということで、もしかすると日本最古のワインセラーかも知れないと言われている。

中に入り暗がりの中で目を凝らしてみると、天井に穴が何箇所かある。地上から土管を無造作に突っ込んで穴があけてあった。内部への採光・換気のためらしい、大胆なことに開口部の補強はしていない。長い年月の間に土管は風化し穴の周りは崩れ始め、蔦も生えている。
雨対策も簡単な金属の蓋が乗っかっているだけ。これでOKなんだから昔の人は無謀、いや勇敢だったな。それとも現代人が過剰に心配性なのか?

照明器具も無いので良く見えない。そこで、例の土管にかぶせた金属製の覆いを取ってみると、小さなトップライトから自然光が差し込んだ(今日の一枚です)。何だか劇的な空間が出現した。やはり光の効果は大きい。

ちなみに普段は立ち入り禁止だが、故あって今日は内部に入ることが出来ました。そんな訳で上の写真は他では見られない(かも知れない)龍憲セラーの内部写真です。