予定外の貰いもの

west2692008-11-12

写真は移築したお倉の建て方の風景。武蔵小金井の住宅街に小さいけれど材木のかたまりのような家が出現した。
移築のため千葉県に民家を見に行った。目的の建物は入り組んだ敷地の奥で、しかも池の向こう側にある。解体も搬出も困難と思われた。
帰り際にふと見ると出口に近いところにお倉がある。柱や梁の傷みが少なく、建物規模も計画している住宅に近い。聞けば今は使っていないという。荷物を保管するためには頑丈に作る必要があったからだろう。規模のわりには太くて長い木材を使っている。上手く利用すれば力強い架構の空間を手に入れることが出来る。

ものは試しと「こちらをもらえないか」とたずねると、快く譲ってくれた。予定外だった。

この建物は二重に組んだ小屋梁の上に棟木が載っていた。下段が松材、上段は欅材でそれぞれ硬くて重い。二本の小屋梁は共に11メートルの長さがある。
さて、屋敷の出口には近いけれど、門が小さくてクレーンは入らない、また全面道路も狭くて大型トラックは近づけない。梁を切断しなければ解体・搬出は難しいが、切ったら意味が無い。そんな訳で施工者は、機械を使わず人力で運び出した。

下の写真で右側の手前から向こうに伸びる二重の梁が問題の梁材。撮影ポイントは壁の外側なので、完成後この景色を見ることは無いが、建物の東西をしっかりと繋ぎとめている。

この再生民家は定年退職後の住まい。完成後は穏やかに過ごしてもらおうと、 「楽庵」と呼ぶことにした。