結霜ガラス

west2692008-11-16

今日の一枚は建具。
これは「ガラス障子」とか「東障子」などと呼ばれ、アルミサッシ普及以前一般の住宅でよく使われていた。
昨今の住宅には気密性能・断熱性能が要求されるので、外部の開口には多くの場合アルミサッシが使われている。
木製の建具でも気密性能も断熱性能も工夫すれば可能だが、基本的には木材という生物材料を使用するので変形・収縮・腐れなどは避けがたい。
そんな訳でこうしたデザインの建具を新築住宅で見かけることはほとんど無い。

この建具は梁に使う古材を見に行った際に、小龍庵の建て主が見つけた。『居間の入り口に計画している建具の扉に嵌めこめないか』とのことだった。

そこで、摺りガラスだけでは単純なので水草みたいな模様と不規則な凸凹のある2種類のガラスを組み合わせたデザインを相棒が考えた。

どちらも古い建具に使われていたアンティークなガラスだ。
片方の名称は分からないが、水草模様みたいな方のガラスは「結霜ガラス」と呼ばれる。大正後期から昭和初期に掛けて製造されていた。摺りガラスに熱い膠を塗る。冷却時の収縮する作用で膠がガラスの表面を引っ掻く。すると霜が降りたような模様が残るのだという。
ちなみに現在の薄いガラスの標準規格は3ミリとのことだが、この結霜ガラスの厚さは2ミリ。薄く透明感があるので気に入っているが、滅多に手に入らない。