回り階段

west2692008-11-19

「階段をちゃんとデザインしないやつは建築家じゃない」とルイス=カーンという巨匠の言葉がある。
確かに機能を満たすだけの階段は貧相だ。凝ったデザインでも人の動作に対する配慮を欠いた階段は役に立たないし、危険でもある。
反対に良く考えられた階段は上階へと人を誘い、オブジェとしても美しい。

学校を出て最初に担当した仕事は15坪の木造住宅の中に入れる鉄骨の回り階段の図面だった。参考資料をあっちこっち探りながら1週間くらいかけて仕上げた。そのまま職方に手渡されたが、多分先輩所員が色々手直しをしたんだろう。現場に行くと無事完成品がついていた。
その事務所の在籍期間関わった5棟の内、階段の図面は4棟まで描いた。いわゆる教科書通りのものが無く、そのつど基本から考えなければならない。描いたり消したり、いつまでたっても図面が出来なかった。上司は出来上がるまで何日も待っていた。きっとイライラしていたんだろうな。

今日の一枚は 「黒板絵の家」の回り階段の鉄骨部分。この花びらみたいな鉄板に木製の段板を取り付けると、下の写真のようになる。

階段脇の壁にはステンドグラスでパネルをはめ込んだ。パネルのテーマは下から階段の上昇に合わせて地上から空へと至る。そこに住む花・猫・鳥・魚・星・天使を相棒がデザインした。