画竜点睛

west2692008-11-22

民家の再生工事は先ず解体工事から始まる。解体時には思いがけないものが見つかることがある。杣口の家では以前厩だった場所からこんなものが見つかった(今日の一枚)。
何に使われていたものなのか良くは判らないが、出てきた場所から考えて、馬に鋤を曳かせる為の鞍ではないかという話に落ち着いた。農耕馬には縁が無いので鞍も鋤も実物を見たことは無いが、確かにそんな風に思えなくもない。
ところで、再生工事では解体民家から出てきた古材は仕上げか構造に使うのが普通だ。保管するためには費用も掛かるので、不用なものは解体時に処分してしまう。
しかし、この形は面白いので何か装飾的に使うのが良さそうだと考えて残しておいた。

工事が進み外壁が出来る頃、外壁の妻飾りにすることを思いついた。
やってみたら、何だか国籍不明な感じの再生民家になった。僅かな要素で全体の雰囲気が大きく変わるのが面白い。これが「画竜点睛」というやつなのかな。

偶然だが、昔この外壁の下は厩だった。鞍の妻飾りは再生前の家には馬が住んでいたことを伝える語り部となった。
後日、韮崎の民家にある納屋兼厩を調査していたら鞍が出てきた。木で作られた鞍の骨ははこの妻飾りとほとんど同じ刳り形をしていた。