廃墟になっても美しい建築

west2692008-12-05

今日の一枚は廃屋なのだ。
河口湖畔の木立の中に潜んでいた。

以前は目の前に湖水を望む別荘だったのだろう。
今では周りの木が育ちすぎて見通しも悪く、日が当たらない。しかも、自動車は目の前を一日中ぶんぶん通る。そんな訳でイヤになってしまったに違いない。
さて、人がいなくなると、ある意味建築は自由になる。機能的な部分や生活のにおいは消え純粋な造形物になった。こういう造形物に惹かれる人間も結構いるらしい。廃墟に関するサイトもあるし、写真集だって出ている。→「廃墟遊戯」

白井晟一という建築家は「廃墟になっても美しい建築を作ろう」といった。
その為には素材・プロポーション・開口部のコンポジションなど裸形の建築が美しくなければならない。難問ではあるが、建築は基本的にそうありたいと思う。

さて、下の写真は根場部落の茅葺民家。昭和41年の台風により一夜にして集落が押し流された。その時かろうじて残った民家の一軒だ。こちらは廃墟にならず生き延びている。

この度40年ぶりに周囲の茅葺集落がまとめて復元された。新しい茅葺民家が建ち並ぶ集落の外れに、彼は古びた姿で残っていた。何だか浦島太郎みたいだ。でも、玉手箱を開けたのはどっちだったんだろう。