倉と蔵

west2692008-12-08

今日は新聞を取りに一度外へ出た後は1日中家の中にいた。
午前中に読んだ雑誌(建築とまちづくりNo369)にはこんなことが書いてあった。「倉」と「蔵」は違う。倉は木で出来ている。蔵は土で出来ている。
「民家の知恵と構法を現代に生かす 板倉構法の開発」というテーマの安藤邦廣氏による講演記事にそんなことが書いてありました。

確かに有名な正倉院は校倉造りといって、木を積み重ねて出来ている。蔵は土蔵と呼ぶことはあっても土倉とは言わない。
「倉」と「蔵」の2種類の文字があることは知っていたが、基本的に作り方が違うことには今まで気がつかなかった。指摘されて初めて納得する訳だ。すると、11月10日のブログに紹介した造りの小屋の場合は「倉」と呼ぶことになる。

以前、ある人が雑誌のインタービューに「茅葺屋根は暖かい」と答えている記事を読んだことがある。個人的な経験ではそんなことは無い。寒いという記憶しかない。夏は確かに屋根裏は暑くならないので、断熱性能があるのかもしれない。それなら、彼の言うとおり冬も暖かく過ごせるはずだ。これは我々の屋根の作り方に問題があるのかもしれないと悩んでしまった。

ある時、建築室内環境の専門家にその話をしたら、茅屋根が夏涼しいのは断熱性能ではなく遮熱性能なのだという。屋根に降りた夜露が日中蒸発する際に気化熱を奪うから屋根裏が熱くならないのだとのこと。それなら夏涼しくて、冬も寒いのは納得できる。これも指摘を受けて「目からウロコみたいに」納得した。現象を正確に認識するのはなかなか難しいものです。

さて、下の写真は合掌造り民家の茅屋根に付いた朝露。

薄日が差してこんな風にきらきら光っていた。暖かい陽射しでも冬はこうやって気化熱を奪ってゆくのだろうか。
そんな訳で今日の1枚はとても暗くて寒かった合掌造り民家の小屋裏。12月の風景。昔の人はこんなところで本当に生活できたんだろうか。