あんぽ柿

west2692008-12-17

今日は南アルプス市の再生民家の現場。不要部分の解体がほぼ終了したので、土台や柱・梁の様子を確認に行った。
建築主のKさん達は農作業の大詰めで大変忙しい様子だった。
そんな訳で、今日の一枚は裏庭で造っていたあんぽ柿。
峡棟地域で見かける先の尖った百目柿と異なり、こちらは先端の丸い「平種無し柿」という渋柿から造られる。皮を剥いて3週間ほど干す。表面が膜状に、内側がゼリー状になると出来上がり。室内で干すときれいなオレンジ色になるが、屋外の方が甘味が増すので、こうして天日干しにしているんだそうだ。食べてみたら、実に甘くて美味しかった。
しかし、出荷先の試験場の見解によれば、今年の天日干し製品は「表面の膜状の部分がちょっと厚い」「色が黒ずんでいる」のが難点だとのこと。
食べ物なら味と安全を最優先すれば良さそうなものだが、見かけの良し悪しが商品価値を左右する。「馬鹿らしいからみんなで食べちゃおう」と娘さんが言っていた。

建築木材の世界にも材料強度とは関係ない規格がある。「無節」「上小節」「小節」「特一」などの見かけ評価が取引価格の高低に大きく影響しているが、これも建築の良し悪しとはあまり関係ない。

鳥による食害を防ぐため、柿干し場は下の写真のように網で囲んであった。

お金に縁のない鳥には見た目の等級は関係ない。人間より彼等の方が本来の価値を知っているのかも知れないな。