グラウンド・ツアー

west2692009-01-02

今日の一枚は土鈴。今年の干支さんです。ちなみにアメリカじゃ土の鈴を売って、アルコサンティー という未来都市建設の費用を捻出しているという。
自然と共生する都市だが、実現までまだまだ数百年かかるらしい。その前に人類が滅びちゃしまわないか?

さて、年末に「グラウンド・ツアー」という本を読んだ。と、言うよりは見たという方が適切か。
建築の写真集なら流行作家の最新作品の紹介が普通だが、こちらはちょっと異質だ。
ラスコーやアルタミラの壁画やら、土で出来たモスクや縄文時代の復元住居などが紹介されている。何万年も前から人類は建築を造り続けてきた。人類が初めて建築を作った時は現在の我々が見慣れた建物とは随分違っていただろう。現在の管理されきった建築の世界から見ると、そうした原初の構造や形を残す建築はおおらかで実に面白いし、羨ましくもある。

一部の例外を除いて、多くの建築はその社会の条件や技術により定型化される。いわゆるフツーの建築」だ。産業革命や工業化の時代が無ければ、私達はもっと違った「フツーの建築」に満たされた世界を見ていたかも知れない。

下の写真は表参道のプラダビル。

北京オリンピックのメイン会場を設計した世界的に著名な建築事務所の作品だ。現在最先端の建築表現の一つといわれている(山梨県人には武田神社のマーク=武田菱に見えるが)。これが未来の「フツーの建築」になるかどうか判らない。学生や建築関係者と思しき何人かが、写真を撮っていた。
建設費用は高価な洋服を売って捻出されるのだから、土の鈴を売って建設するよりもはるかに早く実現する。建築界の流行は暫くこの路線でゆくのかなあ。