山梨日々新聞社の本社屋

west2692009-01-05

今日の一枚は甲府駅北口にある山梨日々新聞社の本社屋。設計者は丹下健三。既に亡くなってしまったけれど、日本を代表する建築家だった。
大学に入った一年目、その建築を見学するために友人が山梨まで来た。甲府の予備校に通っていたので浪人時代は毎日のように眺めていたが、それほどとは知らなかった。

改めて友人たちと一緒に見て回った。「建物が増殖するために円筒形の部分が核になっている。メガ(スーパー)ストラクチュアーを組み込んだ都市計画的なコンセプトの建物なんだ」というような話をしていたと思う。当時、そういう話はほとんど理解できなかった。それに山梨にあるということも、何だかピンとこなかった。

一般的にはモダニズム建築と呼ばれているこの時期の建物の多くを学生時代に実例として学んだ。
それが耐震性・機能性に問題があるとの理由でここへ来て急速に建て替えが進んでいる。
民家再生のようにリニューアルして使い続けてゆくといった発想もあると思うのだが。モダニズム質実剛健というか、力強い造形ではあるけれど、基本的に地味なデザインだ。社会はもっと大きくて華やかなものが望みなのかな。

友人達と見学した当時は周辺に建物も密集していた。そんな訳で撮影ポイントを見つけるのに随分苦労したものだが、今は北口の再開発のために周りの建物がなくなっている。おかげでこんな遠景写真も取れるようになった。

ポツリと荒野に残されたようでもあり、何だか淋しい風景だ。この建物も大丈夫だろうか。