縄文時代のステンレス

west2692009-01-06

民家の再生に関わるようになって、造り方や素材への関心が過去にさかのぼる。度が過ぎると縄文時代にまで行き着く。あまりタイムスリップすると現在に戻れなくなるから注意が必要だ。
さて、今日の一枚は縄文住居。長野県の与助尾根遺跡にある復元住居の1つ。
この某国総理大臣の口みたいな入り口のある建物はおよそ5000年〜4000年前ものだという。
ご存知の通りこの時代は磨製石器が大工道具の中心で、鉄はまだ使われていない。
だから、現在の大工仕事に見られるような仕口・継ぎ手はない。木材同士は縄で縛って接合されている。ちなみに「縛る」というのは人類最古の接合方法なのだという。

木造建築に関わる難問の1つに「釘を1本も使わない家」とか「金物を使わない家」というのがある。どうやって造るのか謎だったが、こうやれば良かったんだな。何でもかんでも縛り上げてしまう。

下の写真は縄文住居の玄関扉の軸部。

Y字形をした枝に、建具根元の軸を載せて回転させる。軸はY字の股から外れないように縄で輪を作って中に通す。成る程、丁番の替わりになるなあとよく見たら、Y字型の枝はステンレス製の木ねじで斜めの柱というか垂木に留めてあった。
今日は縄文時代には鉄に先立ち、なんとステンレスが使われていたのを発見したのであった。