長生きする建築について

west2692009-01-15

今日の一枚は浜寺公園駅。この建物は明治40年(1907年)の建築だといわれている。今年で102歳を迎える。設計者は赤レンガの東京駅と同じ辰野金吾という人。

木造建築は雨に濡れないように軒を大きく出すべきだという意見がある。確かに古い民家や社寺建築はそうなっている。しかし、日本の伝統的な建物に比べると軒出は少なくて雨に濡れやすい洋館建築だってこうして立派に残っている。何故だろう。

下の写真は駅のポーチ部分の柱に近づいてみたところ。

長い年月の間に塗り重ねられたと見られる塗装は1ミリ近い厚さがあり、プラスチックのように硬い皮膜を作っていた。
この皮膜で木部に水がかかるのを防いでいたのだろう。木の表面も風化していなかった。
塗装の寿命は10年に満たないので、こうした状態を維持し続けるためには努力が必要だったはずだ。頻繁に塗り替えていたに違いない。
皮膜が破れないようにメンテナンスを重ねて行けばこうした造りでも100年はもってしまう。およそ30年といわれる木造の耐用年数を遥かに凌いでしまう訳だ。

以前どっかの国の首相が200年住宅とか言っていた。どんな造り方を考えているのか知らないが、どんな方法で建てようと、出来た時の状態のまま何もしないで200年耐えることは不可能だろう。無人化したり、都市の再開発などで壊される可能性もある。

建物の長寿命化にもっとも必要なことは大切に使い続けてゆこうとする意志と維持管理のシステムと街並みを維持する制度だろう。

そして、設計者に出来ることは大切に使い続けてもらえるような魅力ある建築を造ることなのだと思う。