情熱の薔薇

west2692009-01-18

『見てきたもの聞いたこと今まで覚えた全部でたらめだったら面白いそんな気持ちわかるでしょ』(ブルーハーツ 情熱の薔薇)。
前後の歌詞は忘れたけど、なかなか印象的なフレーズだった。大地は水平で動かないと教えられて来たのに、ある日「実は丸くてさあ、しかもグルグル回ってるんだ」と言われた人はどんな気持ちだったんだろう。確かに「実はね…」という話は面白くもあるが、半面困惑もある。
昨日に続いて藤村式建築の話です。擬洋風建築の睦沢学校武田神社の裏側でひっそりと余生を送っていたが、再開発とやらの為に担ぎ出されてしまい、今は甲府駅北口に移築の最中だ。木部の仕上げの色は擬洋風建築では馴染み深いペパーミントグリーンだったが、今回の調査でどうやら濃い紺色だったことが判り、今まで描いていた擬洋風のイメージが大きく変わると新聞にあった。

以前、同じような擬洋風建築の旧田中銀行の修理を手掛けたことがある。竣工時の古い写真があったが白黒だから色がわからない。そこで類似事例としてこの睦沢学校の色を調べに行った。手掛けた大工も同じ人だ。保存されている明治建築の多くは水色やペパーミントグリーンで仕上げられている。その時はきっと同じような色だろうと思っていた。
念のため、当初から残る部材の表面を少しずつ削って、一番下にある色を調べた。睦沢学校とは異なり、青みのかかった灰色が出てきた。そんな訳で今日の一枚はその時塗った柱の色。「本当にこの色なのかな。睦沢と同じ色の方が正しいんじゃないか」と思っていたが、どうやら合っていたらしい。

下の写真は旧田中銀行のフェンス。

戦争の為に供出されてしまって、こちらも写真しか残っていなかった。鋳鉄だから色も黒だろうと思っていたが、以前支柱のあった箇所を掘ってみたら、砂利の中から塗料の破片が出てきた。そんな訳でこちらも塗料の破片と同じ色で仕上げた。