御師の家

west2692009-01-19

今日の一枚は富士吉田市歴史民族博物館の中にある「御師の家」。富士山に信仰の為に登る「御師」の宿坊だった。

案内に「重要文化財小佐野家復元住宅」とあるから何のことかと思ったら、本物は近在に残っていて、現在も住んでいるので中が見られない。代わりに公開用に建てたレプリカなんだという。だから「復元」住宅だったのだ。文化財にしては古い材料が見当たらず、なんだか変だなと思ったがそういう訳だったのか。本物が残っているのに、「復元」というのも珍しい。ちょっとがっかりした。古い建物の魅力は形や色だけじゃない、古びた素材のテクスチャーも重要だ。重要文化財なんだから是非公開して欲しい。

さて建築を知るためには空間体験は貴重だ。レプリカであっても空間の構成は変わらない。宗教建築は軸線が重要だ。この建物も進むにつれ空間のヒエラルキーを高めて、最後にご神体に辿りつくように出来ている。
左手前の入り口から右手一番奥の神殿まで5部屋、12間の長さがある。結構長いが、簡単に拝めては有り難味がない。何しろ相手は霊峰富士だ。粛々と進まなければならない。
しかし、忙しいので情緒に浸っている時間はない。お昼ご飯も食べなきゃいけないし、早く見なきゃとカメラを構えてズンズンと奥まで歩いて行くと、こんな御神体があった。

なんだか脱力系の富士山に見えたのは空腹のせいか?