だるま落し

west2692009-01-21

今日の一枚は南アルプスの再生民家で揚屋準備の終了した状態。

そして下の写真は建物が持ち上がった状態。

右端に人物が写っているが、毎日少しずつ建物を持ち上げて1週間、とうとう重機が下を通れるほどの高さになった。この後基礎を作って再び建物を元に戻す。

それにしてもこんな重たい建物を持ち上げる方法を誰が最初に考えたんだろう。枕木とレールを使い、条件によっては水平移動や、回転することも可能なのだ。こうした基礎技術のおかげで古い建物を直すことが出来る。

井桁に組んだ枕木の上にチョコンと建物が載っているのは不思議な風景だ。だるま落しも出来そうだし、ここらは「八ケ岳下ろし」という強い季節風も吹く。そんな訳で下を歩くのはちょっとスリルがある。

さて、建物が持ち上がった後の地面には古い土台が残されている。眺めていると土台の中央部に写真のように木材が組み込まれているのを発見した。

土台に使われる栗の木は水に強いけど曲りやすい。曲った栗の木の中央部分で繊維方向に直角に切れ目を入れる。切れ目に写真のような材を埋め込み切断部分を押し広げる。そうやって曲がりを矯正して真っ直ぐにする。
こんなところから、昔の人の建築や素材に対する姿勢が偲ばれる。