石口を取る

west2692009-01-22

今日の一枚は土台と基礎。
木造建築は鉄筋コンクリートで出来た基礎の上に土台を敷いて、柱を立てる方法が一般的だ。基礎がしっかりしていなければ丈夫な建物は出来ないし、土台が曲っていたら建物も真っ直ぐには建たない。
そんな理由から建築に限らず、受験勉強や資格試験でも「基礎が大事」とか「土台がしっかりしていなきゃね」などとよく言われる。
さて、鉄筋コンクリートが存在しなかった頃は石を並べて基礎にしていた。真っ直ぐな石を集めるのは大変だったから、自然石の上に土台を並べていた。これを玉石基礎と呼ぶ。自然石は大きさが異なり、しかもデコボコしているので、そのままでは土台を水平に設置する事は出来ない。
そこで、土台の下を石に合わせて削る(今日の一枚)。これを、石口を取るという。ノミで一箇所ずつ削らなければならない上に場所ごとに形が異なる。とても時間の掛かる仕事だ。

実際のところは不明だがこんな説もある。基礎石と土台はお互いに噛み合って水平移動を抑える。しかし、固定していないので地震時にはお互いにずれる。それにより地震力を逃がして建物の倒壊を防ぐのだという。柔良く剛を制すといったところか。柔道だか合気道みたいな話でもある。

先日ある民家の調査でこんな基礎を見つけた。

玉石を積んだ擁壁の上に土蔵が建っていた。通常土蔵の基礎には四角い平らな石を使うが、玉石の上に基礎石を据える為に下の面を削って石口を取っていた。この石を削るのにどれだけ苦労したのだろう。こちらは「ひかりつけ」という。