築300年その2

west2692009-01-25

築200以上の住宅をもう一軒見た。今日の一枚は山梨県甲西町の「安藤家住宅」。
同業の知人に安藤家住宅の築年代を訊ねてみた。200年は経っているのではとの回答があったので、早速見に行った。
見学申し込みをして管理人さんに尋ねると創建は1708年。こちらも300年経っていた。

もちろん300年間何もしなかった訳ではない。時代に即して手を加えているので、ガラス戸なんかも入っている。各時代が重層して共存している。20年くらい前に保存のための修理工事を行い、昨年は茅の葺き替えも行っているので、あまり古さを感じない。
さて、300年建ち続けてきた住宅と、現在見かける一般の住宅とは一見して形も素材も造り方も違う。
大雑把に言えば、常時供給可能な素材とそれを使用する伝統的な建築技術に支えられている、と言っても良いのではないだろうか。
茅屋根も土壁も大工の技術も家と同様に300年間継承されてきているから、いまでもこうやって維持管理と修理が可能になる訳だ。

昨今、言われている200年住宅はどうなんだろう?これから200年使い続けるつもりで造るのであれば、素材や技術も向こう200年間常時供給可能なものにしなければならないと思うのだが……。

この業界は設備器具・照明器具・建材・タイルなどは毎年新製品が出て、変化がめまぐるしい。半年前のカタログに出ている製品ですら「製造中止になりました」なんて報告が日常茶飯事なんだが。

下の写真は中庭の松。

北側の根っこは母屋と渡り廊下の間の床下にもぐりこんで建物を持ち上げようとしていた。
こちらの根っこは飛び石を持ち上げるつもりかも知れない。ちなみに、樹齢は350年とのこと。母屋の先輩格であるので切る訳には行かない。悩ましい話ではあるが、仲良く共存して欲しいものだ。