海岸の家

west2692009-02-02

今日は昨日の続き。
今日の一枚は太平洋に面した断崖の上に建っている「海辺の家」。この家は窓の前面いっぱいに海が広がっている。地形的条件を活かし「海岸で暮らす」という一点に的を絞った計画だ。晴れた日・荒れた空・真夜中・明け方・夕方、海はここから様々な表情を見せた。設計者はプロではないが、とても魅力的な住宅だと思う。

さて、昨日はガラにもなく理屈をこねてしまった。文章も解かり難いなあ。
補足すれば「世界の姿は建築や建築に関わる光景を通して人の胸に刻まれる」とか「建築が風景に意味をもたらす」といったようなことを書いたつもりです。

建築に関する議論にも色々あって、「構造は斯くあるべし」とか「機能や使い勝手を重視せよ」「デザインが大切」「お客様の要望が第一」などなど様々だ。大きな地震があれば地震に強い家が、化学物質の影響が問題にあれば自然素材の家が、経済が停滞すれば長持ちする家がもてはやされる。本来ならば当たり間のことが得がたいことのように喧伝される。

日々の仕事や雑務に追われていると、こうした建築の功利的な側面に振り回されがちで、初心を忘れがちだ。、魅力的な建築のためには「そこに建築が存在する意味を考える」ことだって大切だが、これは置き去りにされがちだ。そんなことも忘れないようにしたい。

下の写真は上記「海辺の家」から見下ろした浜辺の風景。

海岸沿いのちょっと高い所にあるのは「海女小屋」。冬でもここで焚き火を燃やして海に潜り、あがっては冷えた体を温め再び海に入る。昨年の冬「海辺の家」の主はこの小屋を利用している海女さんの捕ったアワビを沢山送ってくれた。

ここに小屋がなければ単なる海岸の風景だ。記憶にも残らない。海と人の営みも気づかずに終わったかもしれない。