アール・デコかも

west2692009-02-13


「小田原の家」オープンハウスまであと1日。何はともあれ新しい建物が出来るのはめでたい。
さて、建物を建てるとその分地面が狭くなる。土地がたっぷりあれば影響は少ないが、地面がない所では既存の建物を壊して新しく造りなおすことになる。

老朽化して危険な場合もあれば、土地の有効利用の為だとか、現在のものよりも更に大きくて立派なものが欲しくなって建て直すとか、動機は色々あるのだろうが、壊される建物にとっては悲しい話だ。ちっともめでたくはない。
私たちは建築を造るのが仕事だから、時には古い建物を壊すこともあるが、そんな時はなんだか胸が痛む。
反対に古民家を再生して喜ばれると「良かったな」と思う。
昨日の新聞には山梨県庁の建て替えの計画が出ていた。県庁舎の第一南別館が解体されるという。
耐震性が低いので取り壊すのだということだが、これは根津嘉一郎という人が寄付したお金で造られた山梨県最初の図書館だった。公共の図書館が個人の寄付で造られた点を考慮して欲しい。役所の人はもっと大切にすることを考えた方がいいんじゃないかと思う。

下の透視図は県立博物館に有った建築当時の資料を基に私達の事務所で描いた。

後世付けられた車寄せやアルミサッシなどの垢抜けない部品を取り除いて、化粧直しすればこんな感じになる。これはアール・デコかな。洋式建築の呪縛から逃れ、近代建築への突破口を開いた前衛芸術とも言える。79年前の建物だ。普段再生している古民家に比べればまだまだずっと新しい。