保存要望書

west2692009-02-16

今日は山梨県庁へ行った。JIA(日本建築家協会)のメンバーと2月13日の「アール・デコかも」の建物である山梨県庁第一南別館の「保存要望書」を出してきた。今日の一枚は階段室の天井を見上げた所。過剰な装飾から脱却して、こういった幾何学的なモチーフを建築意匠に取り入れた点に特徴がある。アール・デコは古典主義から近代主義への扉を開いた芸術運動ともいえるだろう。

事前に連絡をしてあったので、担当部署の課長さんや記者クラブの方達がズラリとお待ちになっていた。さすがに緊張したが、昭和初期の時代を証言する建築として何とか残して欲しいと意図を伝えてきた。
日本では明治以前のお寺や神社、そして民家など丁髷を結って刀で切り合っていた時代の多くの建物は文化財として残されているが、明治以降のいわゆる近代の建築は簡単に壊されてしまう。
老朽化・耐震性に不安・時代の要求に合わなくなったなど理由は様々だ。この建物の場合、耐震診断の結果があまり思わしくないという。だから「記録保存して解体撤去」するのだそうだ。しかし、ワルターベンヤミンの「アウラの喪失」とまでは行かなくても、図面や写真で残しても現物の建築のもつ存在感は伝えられない。補強してでもオリジナルを残す方がずっと価値があると思う。

下の写真は創建時から残っているスチール製の丸窓。早稲田の大隈講堂にも同じような窓があった。

80年近くこんな風に時代の移り変わりを写したり、眺めてきたんだろう。この建築は甲府空襲にも運良く生き残った。