一期一会

west2692009-02-22

今日の一枚は漆喰で出来た鼠。本日訊ねた龍ヶ崎の民家に住む。

昨日は佐久の知人に会うために朝9時に事務所を出て夜11時に帰宅した。今日は朝9時に家を出て茨城の龍ヶ崎という所に午後1時に着いた。移築再生する候補の民家の下見をして、とんぼ返り。夕方7時に勝沼に戻って、明日から工事の始まる宮光園の近隣説明会に出席した。
これはよく考えると「忙しい」のかもしれない。「心を亡くす」と書いて忙しいと読む。だから、「忙しいですか」と訊ねられると返事に躊躇する。「時間はないけど心を亡くすほどじゃない」と思いたいからだが、忙しいんだなきっと。

さて、どんなにタイトでも、時間には隙間というか隙がある。
龍ヶ崎で落ち合った鎌倉の建築家O氏が来る途中、電車の窓から形の良い塔を見たという。次に来るのは何時になるのか判らないし、その時に時間があるかどうかも判らない。それに、もう来ることはないかも知れない。「一期一会」ともいうではないか。そんな訳で30分だけ寄り道してそれを見に行くことにした。そういえば訊ねたお宅で出されたおやつはイチゴミルクだったが、これは関係ないか。


電車から見ただけにしては確信を持って指示する道順に従って行くと、幹線道路から外れた山裾に、目指す塔は建っていた。O氏の確信通り、それは形の良い多宝塔だった。来迎院というお寺にあり、創建は室町時代。関東以北で現存する最古のものだという。昨日に引き続き「最古」という枕詞に縁がある。

江戸時代のものと違って装飾が控えめで好ましい。しかし、饅頭みたいに白くて丸い部分から上の木組みは円形に合わせて造られている。これ見よがしではないが、プロポーションと納まりといった、やるべきところにはちゃんと手を掛けている。「今日はいいものを見ましたね」と話し合って駅で別れた。