タフな素材

west2692009-03-30

今日の一枚。古い新聞です。昭和11年2月15日の読売新聞。保存修理工事を始めた宮光園の外壁に貼ってあった。建物の中にある荷物を運び出し、後年の増築部分を撤去すると、こんなものが出てきた。というより、以前からあったのだけど光が射さない暗い場所だったので注意を引かなかった、というべきか。暗くて直射日光も射さなかったから文字も残ったんだろう。
記事の内容は「昭和10年度の予算が、紆余曲折の内に成立した」といった話。今も昔も国民そっちのけで揉めるのが政治家の仕事らしい。ちなみにこの11日後に226事件が起きている。
下の写真は解体に先立ち、敷地内を片付けた際に草むらの中から出てきた瓦。

江戸時代のものも含めて明治・大正・昭和と様々な時代のものが入り乱れているようだ。表面は風化しているが、芯はしっかりしている。この中から使えるものをより分けて再利用する。
周知の通り瓦は衝撃で割れやすいが、元来が土を焼き固めたものだ。土は安定した物質だ。腐ることも錆びることも無い。大きな衝撃が無ければ何年でも残って、消えてなくなることは無い。中国辺りでは秦・漢の時代の瓦が出土するという。紀元前、始皇帝の時代だ。考えようによってはタフな素材であるということになる。
ちなみに川や沼の底から取ったような泥を使って、低い温度でじっくり焼いて作られるのが長持ちする瓦なんだそうだ。古い瓦はそうやって作られた。最近の瓦は高温でサッサカ、サッサカ、焼くので早く大量に出来るが、寿命は短いらしい。