淋しい話

west2692009-03-29

今日の一枚は法務省。設計したのはエンデ&ベックマンという外国人のコンビ。東京のど真ん中、皇居の周りにはまだこんな建物が残っている。関東大震災も東京空襲でも甚大な被害を受けながらも改修され今まで生き残ってきた。
もう1つの写真は「東京中央郵便局」。こちらは、外国の建築の模倣から離脱して、日本人が近代建築を消化して独自の建築を造り始めた頃の建築。学校で習ったくらいだから歴史的にとても価値のある建物だ。しかし、いかんせん東京駅の真ん前という立地条件ゆえ、新しく高層ビルに建て替えられることになった。今現在、解体の真っ最中だと聞いた。

この後は外観というか街並みの雰囲気を残すために通りに面した外壁の一部分だけを保存、もしくは復元するらしい。最近の新聞沙汰にもなっていたが、開発と保存を「両立」するための苦肉の策なんだそうな。
ちなみにこういった古い建物の一部を残して、後ろに衝立みたいに高いビルを建てることを「腰巻ビル」とか「カサブタ保存」などと呼ぶらしい。
それにしても汚れや傷みが目立ってきたとはいえ、建築後70年そこそこの建物を簡単に壊してしまって良いんだろうか。こっちだって東京空襲を生き延びてきた。それをあっさり壊す。
ちなみに法務省重要文化財になった。東京中央郵便局も「重要文化財を越える価値がある」といわれていた。外国の建築の模倣品は修理して残され、日本独自の近代建築は簡単に廃棄されてゆく。建築を職業とする人間にとっては淋しい話だ。