ライハイドウ

west2692009-05-02

今日の一枚は礼拝堂。案内の人はこれを「ライハイドウ」と読む。杉並区の浴風会病院の病棟の屋上から見た風景。
建物の両側に見える昆虫めいた脚のようなものをバットレス という。本来は石や煉瓦を積んでつくられるゴシック建築の構造要素だ。教会堂が石やレンガを積んで建てられた頃、強風や地震対策として考えられたもの。しかし、この建物はコンクリートだから要らないはずなのだ。
説明によれば「モデルにしたヨーロッパの病院に倣って祈りの空間を用意した」とのこと。「祈りの空間」とくれば「教会」。「教会」とくれば「ゴシック」とか「ロマネスク」だ。ちなみに建物の設計者はゴシックが好きだったと聞く。だから「ゴシック建築」のメタファーとしてバットレスが必要だったんだろう。
そうすると、正面の一段高い塔状の部分が鐘楼ということになる。
思った通り鐘が下がっていたが、下の写真のように仏教寺院風のものだった。

よくよく見ると礼拝堂の入り口には聖書の代わりに経典が置かれ、内陣には仏像が立っていた。なんと言っても日本人が多いから、見かけを欧米風にしても中身は日本流になってしまうのだという。案内の人が「レイハイドウ」と呼ばずに「ライハイドウ」と言ったのもこんな理由からなのだ(御承知のように仏教では礼拝をライハイと読みます)。それにしても鐘の変わりに鈴じゃなくて良かった。見掛けは一神教でも中身は八百万の神になってしまう。