富士見が丘クラブハウス

west2692009-05-04

今日の一枚は「富士見ヶ丘クラブハウス。前川国男の設計で1954年に完成した。屋根はフラットルーフ、いわゆる陸屋根に見える。見慣れたフォルムだが、鉄骨構造ではなく木造なのだ。「屋根はどうなっているんだろう」「これで雨漏りしないのかな」と同行の方々が話し合っている。帰りがけに遠くからながめるとちゃんと屋根が乗っかっていて、緩やかな寄せ棟作りになっていた。こういう造りは近づけば近づくほど屋根は見えずに、軒先の水平線だけが強調される。平らな屋根に見える訳だ。本当は鉄骨で造りたかったんじゃないだろうか。

さて、下の写真は同じ建物のバルコニー。

床の敷物はただのシートで、防水の役に立ってはいない。それにもかかわらず55年間雨漏りもなく建ち続けている。同行のI氏が軒の寸法を測ってみると凡そ1.8mあった。寺院建築の軒下みたいにかなり張り出しが大きい。横殴りの激しい雨の時以外はバルコニーが濡れることは無かったのだろう。なまじ防水シートの性能に期待するよりも、こうした例のように、屋根を設ける設計上の配慮が建物の長寿命に貢献する訳ですね。

もう1つおまけの写真は回り階段。

細い手摺は鉄骨に麻縄を巻いていた。外観はシンプルでモダンな鉄骨構造の雰囲気を木造で追及しているが、内部は鉄骨を使いながら植物素材も利用して、木造的な暖かさを表現している。