「発見」にならない発見。

west2692010-12-15

写真は昨日と同じ上海の裏町で見かけた椅子。人々はこんな脚の短い椅子に座って、道端にたむろしている。
今日は名古屋から来た建築主と近所の工務店S氏の作業場に行く。そこには古民家から採集した柱や梁や建具がおいてある。内装工事用に鉄砲梁という極端に曲がりくねった梁と、ケヤキの床材や樹種不明の天井板を選んだ。
また今は採掘中止になってしまい入手困難な甲州御影石を見つけたので、何本か選んで床に敷きこむことにした。
材料選びを終えて見渡すと、工務店の作業場のはずれでは若い大工さんが何か作業をしている。風化が進んで古びた木材を組み合わせて屋根を造っている。
聞けば大善寺という寺の縁側の下から出てきたんだそうな。ここには室町時代に建てられたという重要文化財の仏殿がある。確かに彫刻には室町時代の片鱗が見られるが、それなら相当古いもの(重重要文化財並み)じゃあないか。大発見だねと聞くと、創建時から建ち続けて今日に至る建物であれば文化財なのだが、いったん解体して保管したものはかつて建っていた場所も特定できないことも含めて、文化財の対象外なんだとのこと。
実状よりも形式を重んじる訳だ。せっかくの発見ではあるけれど「発見」にはならない。残念な話ではある。

そんな訳で、こちらは呆れたので何も言うことが無いという風情の仮面達