直観に蓋

west2692011-03-30

今日の一枚は身延山久遠寺五重塔の芯柱。「高い所に上りたがるのは・・・」と言うけれど、五重塔の工事見学は中々あるものじゃない。足場を外したら2度と屋根の上を見る機会は無い。当然のことながら登れるところまで登る。毎度のことだが、写真を撮るのに気を取られ、説明を聞き洩らしてしまった。
一通り見学を終えて下に降りると何本か密に建てられた柱の真ん中に芯柱らしきものが建っているのがみえた。足元が透けているので覗き込む。こんな風になっている。暗くてちょっと見にくいが、石の上にパッキンみたいな角材が据えてあり、その上に八角形の柱がポソッと乗っかっている。周りの柱は金物を使って基礎に緊結してあるのに、こちらは実に簡単なのだ。説明では「柱は屋根の相輪という部材を支えているだけ」という話だった。構造的には大黒柱のように建物をガッチリ支えるのではなくて、高い建物を安定させるバランサーの役割を果たしているのだそうな。
塔のオリジナルの創建は古くて、1663年頃のものだという。現在みたいに構造解析のない時代にもそうしたアイデアに到達する直観を人は持っているのだ。

ここで話は飛躍する。
原発の敷地で今度はプルトニュウムが検出されたという(3月28日の朝刊)。プルちゃんは人工的に作りだされた猛毒物質なんだそうだが、報道には「この程度なら通常の環境でも(何故か)存在するし、人体に影響はない」とあった。
知識と理論で直観に蓋をすると、そんな結論が出せるのかも知れない。

そんな訳で、閑話休題。もう一枚は五重塔工事中の仮囲いの風景。