慣れる

west2692011-03-31

「防災甲州です。東京電力からお知らせします。本日の計画停電は****です」。
朝の7時頃起きたばかりのぼんやりした頭で考えた。ここのところ夜更かしが続いて朝が遅い。寝起きも悪い。目が覚めたのはこの無線が聞こえたからなのか、それとも直前に無線放送を聞く夢を見たのか。はて、どっちだろう
計画停電が始まった当初は真剣に聞いていたのだけれど、回を重ねるうちに、聞き洩らすようになってきた。その内、停電にだって驚かなくなるのかも知れない。慣れるというのは、厄介なことでもある。

さて、今日の一枚は「石葺き屋根」。
伊豆の韮山にある江川家住宅の土蔵の庇なのだ。
垂木も野地板も無くて、厚い石がドコッと置いてあるだけだ。これで雨を防ぐ。実にシンプルな仕組みだ。良く眺めるとこの石の重ね方では雨は完璧には防げないのだが、軒下の吹きさらしだからどのみち雨が吹き込んでくる。だが大した問題じゃないのだろう。

土間から中に入るとこんな窓があった。


先ほどの石とは異なり、こちらは薄くて小さなガラスを使っている。細い組子で繋ぎ合わせて一枚の建具が出来ている。もう一枚の写真。ガラスが薄いためかとても透明感がある。
ちなみに、現代建築では開口部の存在感を無くすために大判の透明な一枚ガラスを使うのが主流なのだ。そして石は薄くスライスして張るようになった。

古典的な建築と現代建築とでは石とガラスの使い方が、いつの間にかまったく反対になっていた。