新米のスパイ

west2692009-03-15

今日の一枚はスツールの「ツェット」。ツェットとはドイツ語で「新米のスパイ」という意味(青池保子さんの『エロイカより愛をこめて』の一連のシリーズを参照のこと、これが判る人は漫画好き)。
好きな椅子の1つにリートフェルト ジグザグチェアーがある。どうしてあの形でポッキリ壊れないのか不思議だが、試作品も相当作って研究したのに違いない。頑丈にすべき所が繊細に造ってあるところが傑作たる所以なのだ。座り難いという噂もあったが、試してみたらそうでもなかった。
それにしても、オランダ人のデザインした椅子を日本で「ジグザグ」と呼び、ろくにドイツ語も話せない日本人が「Z=ツェット」などと名づける。変な話ではある。

この椅子は 「小田原の家」の玄関に置くために造ったが、最初は事務所の玄関ホールのために考えた家具だった。
靴を履く際に腰掛けるスツールでもあり、簡易な手摺でもあり、手荷物の一時置き場にもなる。使わないときはオブジェになる。簡単に動かせる。そんなことを考えていたら、思いがけず実現することになった。
下の写真は「ツェット」のある風景。

鉄板をクイッ、クイッと「Z」型に曲げて板を載せるというシンプルなアイデアなのだが、金属加工の職人に相談したら、その形を曲げることは可能だが、「そいつは揺れると」いう。頭で考えるほど物質の世界は甘くない。彼のアイデアで揺れ止めのため真ん中にパイプを設けた。