黒猫印の葡萄酒

west2692009-03-19

語学に堪能な読者は既にお気づきなことと思うが、昨日の猫の名前「シュバルツ」には黒いという意味があるらしい(「らしい」と書いたのは辞書で確かめて無いから)。学生時代に住んでいた板橋本町の商店街にある酒屋では「シュバルツ カッツ」という酔っ払いの黒猫をラベルに貼ったワインを売っていた。味はわからないけど、ラベルが気に入っていたのでよく飲んだ。それに、ヘッセだったかトーマスマンだったか忘れたが、彼が住んでいた森は「シュバルツ バルト」と呼ばれていた。これも「黒い森」という意味なのだという。そういえば隣の春日居町にあるドイツ料理の店にも黒ビールが置いてある。こうなるとドイツのイメージカラーは黒といって良いかも知れないな。

さて、今日の一枚は「水神の社」。南アルプス市の再生民家「小木人の舎」の裏庭にあった。
社の両側に張り付いているなまずみたいなものは水神の化身なんだそうな。塩山あたりの農家の庭には「屋敷神」が祭られているが、水神宮は始めて見た。周りは藪や畑ばかりで水の流れる場所は見当たらない。何故水神が祭られているのか判らない。
下の写真は「小木人の舎」の全景。完成後3年目に撮影した風景。

再生前は茅葺の民家に2階が増築してあった。そいつを更に杉板で張りくるんでしまったから、一見すると板張りの小屋みたいで民家には見えない。板も完成直後は白木のままだったものを、持ち主がウッドロングエコという塗料を塗った。手の届く所だけ塗ったので、暫くの間1階部分だけが黒かった。今は落ち着いている。

見学に訪れたほとんどの人は中を見るまでは「これが再生民家?」と思ったという。
しかし、設計者としては「これこそ民家の再生です」と言いたい。→詳しくは こちらをどうぞ。
ちなみに「小木人」はデカルトの言う「コギト」 の意味。建築を作る際に大切なことは「形式」より「精神」、「知る」ことより「識る」こと、「覚える」より「見出す」ことなのだと思う。