ありふれた風情なのだ

west2692009-03-20

今日の一枚はミキモト。銀座で偶然見つけた。ピンク色の凹凸の無い外壁のせいか夕暮れと一緒にそのまま消えてなくなりそうだった。現代の都市は相当変わったデザインでも、たちまちありふれた風景に取り込まれてしまう。カメラを構えている傍らを無関心そうに大勢の人が通り過ぎて行った。関心を持つのは同業者のみか。
明日は横浜に出頭じゃなかった、出張する。200年住宅のお話をしなければならない。言いだしっぺの総理大臣はとっくの昔に投げ出してしまったテーマだ。良くも悪くも一度決めたことはやってしまうという体質は日本人の特性なんだそうな。本気だったのか人気取りだったのか動機は怪しいものだが、いづれにしても建築を大切に、長く使うことが求められる時代が来ることは喜ばしい。
しかし、東京の中心街はこれとは反対の動きにみえる。大正期・昭和初期の建築は次々と壊されて、高層ビルに建て替えられている。建て替えることによって、より良い環境に脱皮できるのであればそれも良いだろう。しかし、建設当時も意気込みや心意気、完成の喜びとか、未来への希望などあったはずだが、皆忘れてしまったのかな。
均質化した統一感のある新しい町並みよりも雑然とした多様性や、様々な時代の痕跡が積層・混在している歴史的な街並みのほうが魅力的だと思うのだが。
民家と同じように古い建物の個性を生かしてリニューアルするほうが現在のニーズにあっていないだろうか。
下の写真は横須賀に残る旧日本海軍の建築。

ありふれた風情だが、中に入るとレンガ積み、木造トラスのとても渋い建物だった。このまま放置されたままなのだろうか。かっこよくリニューアルできるんだけどな。