12神将

west2692009-06-08

今日の一枚は薬師堂。大月から小菅に向かう山の中にある某寺院の境内にある建物の実測を行った。
一見、何の変哲も無いようなカラー鉄板葺きの板張りの建物だが、宗教建築は見かけが地味でも油断できない。肘木や象鼻と呼ばれる彫刻が只者じゃない雰囲気を漂わせていた。通常、肘木や組み物の装飾部分は時代が変わるにつれ、端正な形からデフォルメされ派手派手しくなって行く。日光東照宮が良い例だ。こうした傾向は素朴なロマネスクに始まり派手なバロックにいたるヨーロッパの宗教建築にも見られる。
人は同じ表現を繰り返すのに飽き足らなくなるものらしい。そして、最後にまた何も装飾のないモダニズム建築に行き着く訳だ。
この建物の創建は1600年代だが1800年代に再建している。辺鄙な山の中にあり、周囲の情報から隔絶していたためか、流行の影響を受けず、創建時の意匠を守り続けてきた。素朴で端正な室町時代の雰囲気を多く残している。
下の写真は12神将。

床に当たって弱くなった光に反射するように目の所だけ金色に塗ってある。真っ暗な中に真っ黒な仏像がこのように置いてあると、目だけが光ってなかなか怖い。
仏像の知識は殆ど無いに等しいが、12神将というのはバサラ大将とかクビラ大将などと呼ばれる薬師如来の守護神のことだそうだ。怖い顔をしているが、意外なことに額には鼠や牛や虎などの干支がくっついている。