移動式美術館

west2692009-06-18

例外はあるが、多くのキリスト教会が石で造られている。理由は「神の国」とか「神の教え」の永遠性を象徴するためだと聞いた。そうした宗教建築でなくても多くの時間と労力をかけて造るからには、建築は永遠でありたいと思うだろうし、そう考えるのは普通のことだろう。
にもかかわらず、最近は建物の寿命が短い。それも劣悪でも、脆弱でも、なんでも無い建物であっても政策的・経済的な理由で消えてゆく。本当にいいんだろうか。

さて、今日の一枚はノマディック美術館。古民家や社寺ばかりではなく、たまには新しい建物だって見に行くのだ。これは映像作家グレゴリー・コルベールの作品を展示し、世界を巡る美術館。コンテナを積み上げて壁とし、紙管で小屋梁をかけて屋根をテントで覆う。解体して持ち運び世界中どこにでも組み立て可能なのだそうだ。遊牧民のテントのように、立ち去った跡には何も残らない。建物はその場所から消えるが、消滅した訳ではない。少しずつ変化しながら世界のどこかでまた姿を現して行く。
ちなみに美術舘のコンセプトは「持続可能な巡回美術館」。→ノマディック美術館。
内部は撮影できなかったが、バシリカ式教会堂に共通した空間をもつ。石やレンガなどを用いて物理的に長寿命な建築を目指さなくても、仮設的な手段によっても「永遠の空間」が実現できる訳だ。
下の写真はその建物の夜景。三脚が無かったので、手ぶれ防止のためバリカーの上にカメラを置いて撮影した。