新築建物の見学会

west2692009-07-18

今日の一枚は某大学の研修施設。廃墟やら解体中の建物やら磨り減ったお地蔵さんやら民家ばかり見て歩いている訳じゃなくて、たまにはこうして新築の建物だって見学する。
森の中にジグザグな平面形の木の箱を置いたプランだ。現代建築のトレンドに沿った建物と見た。
何となく傾いて見えるのは気のせいではない。ちゃんと傾いている。文化財の修理やら民家の再生では傾いた柱や壁は珍しくないけれど、この場合は意図的に傾けている。
説明によると「一枚の布で建物を覆った感じを出すのが狙いだった」なのだそうだ。それがあちこちカクカクと折れ曲がっている理由なんだな。布なら折れ曲がらないはずだけど......。せめて紙と言って欲しかったな。
迷子にならないように平面図を持って中を歩いた。学生時代読んだ本(渡辺洋治・建築へのアプローチ)には「方向音痴の人は建築をすぐ止めなさい」と書いてあったことを思い出した。あの頃この建物が無くて良かった。危うく自信を無くす所だった。

ちなみに、水平なのは床だけなんだそうだ。古い建物の修理では如何にして床を水平に、壁を垂直に戻すのかといったあたりに苦労する訳だが、こうやってわざわざ傾ける設計もある。不思議な話だ。
尚、構造は鉄骨と木造のハイブリット構造とのこと。木の柱と梁は燃えて炭化した層を耐火被覆と考える、いわゆる「燃え代設計」をしてあるので断面がその分大きくなっているんだそうだ。