繭の塔

west2692009-07-19

今日の一枚はガラス屋根のある小屋の夜景。四角い平面・カマボコ屋根・縦長のスリット状の窓で出来ている。このままの形で拡大すれば宗教施設にも体育館にもなる。これを建築の原型と呼ぶ………。
そんな話だったら面白いけど、これは相棒が造ったブラケットの記録写真。本来はこの向きじゃなくて、90度時計周りに回した形で取り付けている。
「すべては建築である」といったのは確か、ハンス・ホラインという人だったかな。学生時代の先輩も「建築に見立てることの出来るデザインは無限にある」と言っていた。そうはいっても技術と費用の裏づけが必要なのはいうまでもない。

下の写真は新宿東口商店街に突如現れた蛾の目をした巨大な頭巾男。

個人的には人の頭に見えるけど、正式名称は「コクーンタワー」(繭の塔)という。
建設を始めたばかりの頃、近くを通りかかったことがある。筋交いみたいな鉄板が沢山入っている。「変った物を作っているなあ」と、そのときは思った。その後、あれよあれよという間にぐんぐん伸びて、超高層ビルになってしまった。あの鉄板は糸のメタファーだったんだ。成る程。これだけデカければ糸に見えないこともない。
ちなみにエジプトのミイラは繭をイメージしたんだという話を聞いたことがある。幼虫が繭なって蛾として現れることを、死から新しい生への復活のイメージに重ね合わせたんだそうな。ピラミッドは繭の入れ物だった訳だ。するとこのビルは現代都市のピラミッドということか。