都会のビオトープ

west2692009-08-14

今日の一枚は蚊取り線香の看板。
演出のためにコレクションしたのか、それとも以前からここにあったのか。色褪せた古い看板が掛かっていると、何十年も変わらぬ姿を留める場所であるかのように見える。これが山梨なら、単純に「年代物が残っているなあ」と思うだけだが、なんせここは東京だからなあ。このほかにも「福助」「蜂ブドー酒」なんてものもある。それにしてもレトロなアイテムの、あまりに訳者が揃いすぎていないか?有楽町駅のガード下を抜けて日比谷に向かう途中にこういうところがあった。

ビオトープと言う概念がある。分解すると「バイオ」は生物を表す接頭語で、「トポス」というのはギリシャ語で「場所」を意味するという。自然界に存在する大小無数の穴や隙間や茅葺農家の床下や屋根裏には様々な小動物が生息している。家屋と言う人為的なところであっても、身を潜めたり食物が確保できれば生き物が住み着く。人工的な環境が、結果的に様々な生物を引き寄せ、生態系の多様性を作り出すこともある訳だ。これも広い意味ではビオトープと言えるんだそうな。

都会の表通りは現代的なデザインのガラス張りの清潔感溢れるビルばかりだ。それも心地よいけど、こうした一角も落ち着かないか。人間も生き物だからビオトープみたいな所が必要なのかも知れない。