静かなること林の如し

west2692009-08-22

昨日の続き。
豊川稲荷のキツネに化かされた後、平和通に出る。平和通とは甲府のメインストリートだが、この一角は自動販売機だけがずらりと並んでいる。おっさんが自動販売機で缶ジュースを買っていた。後ろの建物は空き家らしい。見るとこんな建物だった。木造3階建て。構造的にも、防火的にも、現在要求されている性能を満たしていないだろう。立派な既存不適格なのだ。
傷みがひどくてこのままでは使えないから、入居者が期待できない。新規入居者のために改造するとしても法律上の障害が多いだろう。法律をクリアーしても費用がかかりすぎる。かくして同じような建物が並ぶ地区が一様に空屋化する。大きな資本が買い上げて、「再開発」する。見掛けは立派だけど、庶民の手が届かない街になってゆく。

甲府駅に着いた。駅前の信玄さん(母がそう呼んでいた。昔はロータリーの真ん中に座っていたように記憶している)の前がなにやら賑々しい。現代社会は信玄さんのモットーのように「徐如林(静かなること林の如く)」という訳にはなかなかいかないのだ。管楽器の音がブカブカ聞こえて、人だかりがしている。通り過がりに眺めると「山梨県警察音楽隊」と看板があった。翌朝の新聞によれば、「音楽演奏の合間に振り込め詐欺の手口などを紹介して、注意を呼びかけた」んだそうだ。確かに警官も大勢いて、通りすがりの人々にチラシやらポケットティシュを配っていた。巷は音が溢れている。少々のことでは市民の耳に声は届かない。
今日の一枚はそんな演奏風景。こんな風に鳴り物入りで、ネズミ捕りや検問、交通違反の取締りをされたら、気持ちよく反則金も払うことも出来る。そんな訳ないか。