踏切門

west2692009-08-31

北鎌倉で下りると雨が降っていた。かつて相棒のなじみだった「たまごや」で150円のビニール傘を買って円覚寺に向かう。
円覚寺といえば遠い昔読んだ夏目漱石の「門」を思い浮かべる。家のどこかに本もあるはずだけど、どんな話だったのか忘れてしまった。確か主人公が現実逃避的に参禅したけれど、悩みは晴れず空しく立ち戻るような記憶がある。でも、そもそもの悩みの原因の方はなし崩し的に解決したような、先送りしたような、そんな話だったような気がする。そのうち読み返してみよう。
さて、参道を入ると珍しい門があった。踏み切りだ。→今日の一枚。
遮断機が下りている。ここで上下線が通り過ぎるのを待ったが、なかなか来ない。通り抜けるのに随分時間がかかった。今も昔も悟りへ至る道は近いようで、なかなか遠いのだ。
寺の建物はほとんど山の上に点在している。1つ見るために上がっては下り、もう1つ見るためにも上がっては下りを繰り返す。悟りへの道は日常生活も険しいのだ。
最後のポイントを見終えた頃には足が痛くなってしまった。それに「たまごや」で買った新品の傘も壊れてしまった。修行というものは実に厳しいものなのだ。
下の写真はそんな修行の途中で見かけた建物。

茅葺屋根の穏やかな曲線がきれいだ。案内板には「選仏場」とあった。昔はここで座禅を組んでいたらしい。悟りへの道は魅惑的でもある。