モグラの旅立ち

west2692009-09-22

今日の一枚は新橋で見かけた巨大なトウモロコシ。じゃ無くて、中銀カプセルタワー。今は亡き黒川紀章氏の設計。学生時代読んだ建築関係の本には大抵載っていた。お茶の水で打ち合わせの帰りに寄った汐留ミュージアムのロビーから偶然見えた。これも解体されるらしい。
さて夕食後、郵便物を出しに近所の郵便局に行った。街灯の下で何やら小さな影が動いた。「鼠かな」?と思った。
東京の地下鉄で何度か鼠を見かけた。あの頃住んでいた木造アパートでも我が物顔に部屋を横切っていった。体も態度もデカイやつだった。記憶違いかも知れないけれど、往来で鼠の死骸を発見する所からカミュの小説「ペスト」は始まったんじゃなかっただろうか。それを連想するので鼠君はチト苦手なのだ。
恐る恐る良く見ると、モグラだった。我が家の回りで数年に渡って行われている道路工事で、畑が掘り返されている。その上アスファルトで覆われてしまうので、彼らの生活圏も狭くなったのだろう。新天地を求めて旅に出たのかも知れない。しかし、彼の手持ちのスコップではコンクリート舗装は歯が立たない。トンネルが掘れないので、途方に暮れている様子だった。そのままじゃ自動車に曳かれてしまう。朝になってから敷物を見たくないので、近くの空き地に生えている木の下に移動させてきた。
それにしても街灯のある夜道に迷うような方向音痴で、真っ暗な地面の下をどうやって進むつもりだったんだ?
そんな訳で下の写真は見納めの「中銀カプセルタワー」。

接近して見上げて撮影。なんだか最近は建築の絶滅危惧種ばかり見ているような気がするなあ。