時代の感性

west2692009-10-18


今日の写真は耕雲館の外観。この感じはどこかで見たような気がする。解説文にはフランク・ロイド・ライトやセセッション、表現主義などのモチーフが折衷されていると書いてあった。昭和3年の建築。確かにそんな時代だ。作者が意図する、しないにかかわらず当時の潮流の影響が紛れ込む。それが「時代の感性」というやつなのかも知れない。ところで現代という時代はどんな感性なんだろう。
さて、下の写真の中で所々タイルの色が異なるのは新旧のタイルが混ざっているから。古いタイルに合わせて新しいタイルを焼いた後、古いタイルの汚れを落としたら、きれいになってしまった。結局、色が違ってしまったとのこと。でも、すべて、同じ風合いだったらレプリカに見えてしまうかもしれない。創建時だけではなくて、過ごしてきた時代の痕跡も残さなければならない。古い建物の修復はその辺りの兼ね合いが難しいと思う。

この建築はステンドグラスも面白いのだけれど、内部の写真を無断で公開することはご遠慮くださいとのこと。残念ながら紹介できない。ここには仏像のほかに六朝時代の瓦も展示してあってなかなか興味深い。六朝時代というのは何時頃なのかと調べたら、紀元222年から589年とあった。「案外新しいものだ」。以前どこかで「秦」や「漢」の時代の瓦が今でも残っているとの話を聞いたことがあった。「秦」や「前漢」は紀元前だから、それに比べりゃ新しい新しい訳だが、「新しい」と感じるのは感覚がおかしいのかも知れない。ちなみに日本で最も古い木造建築の法隆寺だって築1300年くらいだ。六朝時代より新しい。中国4000年の歴史は侮りがたい。