3坪の家ほめ

west2692009-11-10

今日はマサカリ大工と企画の打ち合わせのはずだった。夜8時過ぎ、企画の下見に出来たばかりの家を見に行った。5年間かけて造った3坪の部屋なのだ。木造り・地盤・基礎から建具、屋根まで全部自分で手掛けている。例によって使っているのは手道具だけ。今日の写真に使っているのは床柱の上の肘木。社寺建築でよく使われる部材だけど、よく見るとハートの模様が掘ってあった。
もう一枚の写真は柱の両側にある巾木という部材なのだ。床と壁のコーナーに使われる部材だけど、普通なら長方形断面の真っ直ぐな材料を使う所だ。ここでは、製材して柱や梁を取った木材の木の枝をこんな風にチョウナで削って使用している。

建具と板を除いて、柱も梁も真っ直ぐなものは無い。手間のかかる仕事だ。「随分施主さんを待たしちゃった」と言っていた。以前、当社で設計した建物を相談したら「工期を3年は欲しい」と当たり前のような顔をしていたけれど、今思うと、あれでも彼にとっては突貫工事のつもりだったんだ。
「これは栗。あれは桧。それは桐。で、そっちは栃」。落語の「家ほめ(?)」じゃ無いけど、使われている木材の種類をあれこれ詮索し、建て主さんが入れてくれた蕎麦湯(実に美味い)を飲んで帰ってきた。さて、何しに行ったんだろう。