バス停にて

west2692009-12-05

民家を再生したSさんの自宅を見学した。中央線を八王子で降りて八高線に乗る。電車の中で読もうと文庫本を持ってきたが、初めて走る路線の景色は新鮮だ。冬枯れの雑木林を眺めていたらあっという間に東飯能に着いた。
バス停でおにぎりを食べていた二人連れの女性に道順を尋ねると私達と同じバスに乗ればよいという。電光掲示板に表示される停留所の名前が気にかかる。天覧山下・永田大杉・久須美・坂の上・赤工・曲竹・尾長入口。ツイツイ読み方について考えてしまった。それにしても随分走る。山も深くなって来たなあと思ったら、先ほどの女性が、もうとっくに乗りすごしていることを教えてくれた。地名の読み方を悩んでいるうちに、肝心なところを乗り過ごす人は少なからずいるのだそうだ。いずれにせよ、反対方向のバスに乗り換えなけりゃ帰れないという。
降りたバス停はコインランドリーの前にあった。今日の一枚はそのバス停。これは(カミアカダクミ)と読む。そこでは洗濯機が10台は並んで忙しそうに働いていた。集落の洗濯を一手に引き受けているかのようだ。
子供のころ住んでいた我が家の東隣は農家だった。屋敷の前を川が流れていて、衣類も食器もお米もゴザもムシロだってそこで洗っていた。時々桃も流れてきて、桃太郎というやつはきっとこんな川を下ってきたんだと思った。ここなら、桃太郎はコインランドリーからやって来るかも知れない。
下りのバスに乗り、今度はしっかり停留所の名前が放送されるのを聞いた。窓からSさんの家も見えたが、停まらない。そのまま通り過ぎてゆく。突然、バスというのはボタンを押さないと停まらない事に気が付いたが、もう遅い。長い下り坂をどんどん走る。
傘を差して山道を歩き、大きな坂道のカーブを曲ると目的の家が少しずつ見えてきた。ゆっくり近づくとじっくり観察できる。建築を見るときは歩いてゆくに限るのだ。
下の写真はバス停近くにあった材木屋。丸太の置いてある材木屋を最近見かけなくなったような気がする。