竹割りの道具

west2692009-12-08

今日は昨日の続き。
F左官は代々の左官業で、先代さんからの付き合いだ。始めは親父さんのように物静かな人だと思ったが、20年ほど前に一緒に胃カメラを飲んでから随分饒舌になった。
仕事に関するボキャブラリーの豊富さと、スピードの速さに付いて行くのは大変だ。大抵の場合は聞き役に終始する。
しかし、話の隙間を縫って、二言三言発したこちらの言葉をよく覚えている。次には塗り見本が用意されていて、こちらの要望したものと、独自に工夫をほどこした提案作が並んでいたりする。
今日の一枚は、竹割りの道具。一番右端はドイツのベンツ社で作られたもので、他は日本製(嘘)。
竹の小口にこれを当てて、ぐっと押すと、等分に割れる訳だ。竹の太さに応じて、3〜8等分まで使い分ける。昭和初期から使い続けているんだそうだ。鋳鉄製で出来ているので、硬くても乱暴に扱うと壊れてしまう。「先日人に貸したら、ハンマーで叩いてさあ・・・。欠けてしまって、もう直らない」と残念そうだった。
下の写真はそのようにして割った竹 (11月30日 泥縄式建築術の写真の竹)を縄で編んだもの。

「竹小舞が出来ていましたね」と話しかけると、「もうすぐ土で隠れてしまうけど、今が一番青くてきれいなんだ。いいときに見に来たなあ。それにしても、貫の位置が悪いね」と返事が帰ってきた。