元祖屋上緑化

west2692009-12-16

今日の一枚はイワヒバ。今は北杜市と称しているが、かつて北巨摩郡と呼ばれた地域の民家の屋根にはイワヒバが乗っかっていた。「いた」と過去形にしたのは、現在は茅葺が少なくなって滅多に見かけないからだ。もちろん何軒かは残っていて、このイワヒバはそんな貴重な茅葺民家の足元に有った。葺き替え時に棟から降ろした一部なんだそうだ。名前の通り、こうして土の無い石の上でもたくましく生きている。
茅葺屋根の弱点は棟の部分といわれ、杉皮で押さえる、竹で包む、瓦で押さえる、茅を束ねて押さえるなど、様々な棟押さえの処理方法が開発された。この地域では植物の根を張る特性を生かしてイワヒバを載せている。雨が降ると植物も育つし、屋根も守れるという、一石二鳥の発想が面白い。元祖屋上緑化なんじゃないだろうか。
事務所で最初に手掛けた再生民家は北巨摩郡の茅葺き民家だった。相棒の目撃では屋根の上にはウチワサボテンが咲いていて、赤い花が咲いていたという。しかし、うかつなことに全く覚えていない。残念なことをした。

下の写真はそんなイワヒバのある茅葺き民家。越屋根付きの入母屋造りはこの地域の代表的な民家の形式。